日経225の公開パターン

売上げ単位数の増加だけでなく、着実に進んでいる売上利益率の改善によっても業績は向上することになる。 要約すると、J杜の将来は明るい。
Pは言う。 「毎晩、寝るときに、朝になると二五億人の男性が髭を剃ることになる、と想像するだけで楽しくなるではないか」同社は二つの異なった事業を行なっている。
その一つが防衛関連で、原子力潜水艦の設計、建造については米国におけるリーダーである。 ミサイル・システム(トマホーク、スパロー、スティンガー、その他の新型巡航ミサイル)、航空防衛システム、宇宙基地用車両、戦闘機(FM)などを手がけ、また米国陸軍のMIA1、MIA2戦車などの装甲車両の製造を行なう。
一九九O年には、マクダネル・ダグラス社に次ぐ第二位の防衛関連企業であった。 一九九O年には同社の売上げは一OO億ドルを超えていたが、一九九三年には三五億ドルにまで減しかし、売上げ減にもかかわらず、この間に、株主の価値は七倍になっていた。
一九八九年にベルリンの壁が崩壊し、長い間続いた、米国にとって高価についた冷戦の終結への道が開けた。 翌年には、ソ連で共産主義が崩壊した。
第一次世界大戦から始まってベトナム戦争まで、苦闘の末に得た勝利のたびに、米国は膨れ上がった防衛力のスリム化に取り組まなければならなかったが、ここにきて冷戦が終結し、米国の軍需産業は、別の形のスリム化を迫られたのである。 一九九一年、同社はWをCEOに任命した。
当時、株価は一O年来の安値の一九ドルだった。 当初Aは、軍事予算が削減されても高い評価を得られるようにと、ウオール街対策を試み、アナリストに悪印象を与えるもとになる財務的な基盤の不安定さを除こうと、会社のリストラに着手した。
資本支出と研究開発費を一O億ドル削減し、従業員数を何千人と減らし、幹部の報酬規定を株価の推移と関連づけたものに組み替えた。 しかし、軍需産業が構造的に変化したこと、そして成功するためには、少々の経費削減くらいは問題にならない。

もっと大きな手を打たなければだめだ、と悟るのに時間はかからなかった。 当初のリストラも効なく、防衛産業は、莫大な過剰設備の重荷を背負っていた。
単純に、防衛関連の仕事が足りなくなった。 防衛予算の縮小は、結局、企業規模を縮小して非防衛産業分野への多角化を図るか、あるいは小さくなったパイを独占するかのどちらかを選択するしかなかった。
少していた。 一九九一年一O月、Aはコンサルタント会社に、防衛産業についての調査を依頼した。
その報告によると、同業界に属する企業が一般企業を買収したときには、八O%のケースが失敗に終わったという。 また、防衛産業全体が設備過剰にあえいでいる以上、その業界に属する企業が効率化を達成するのは難しい、ともあった。
彼は、Z杜が活性化を達成するためには、自社の事業を合理化する以外にないと決心した。 研究開発と製造能力のバランスがとれて、スケール・メリットと強い財務力が得られる事業、である。
彼は、限界規模を達成できない事業は、たぶん手離すだろうと言った。 Aは、同社は、まず四つの中核事業、すなわち潜水艦、戦車、航空機、宇宙システムの各生産部門に重点を置くべきだと考えた。

これらは市場のリーダーであり、縮小を続ける防衛関連の市場にあっても生き残ることができるとの読みである。 その他の事業は売却する意向であった。
一九九一年二月、データ・システム事業部をコンピュータ・サイエンス杜へ二億ドルで売却。 一九九二年、セスナ・エアクラフト事業部をT社に六億ドルで売却。
同年、ミサイル事業部をヒューズ・エアクラフト社に四億五OOO万ドルで売却。 以上の非中核事業の売却で、六カ月足らずの聞に一二億五OOO万ドルを手にした。
Aのとった一連の行動によって、ウォール街の関心を集めた同社の株は、一九九一年の聞に二二%も上がった。 そして、次に彼が打った手に、Pが注目することになる。
Aは、その現金を手にして、まず当面の資金需要を満たしたうえで、債務の軽減を行ない、財務力の強化を図ると発表した。 債務を縮小した後のゼネラル・ダイナミックス社は、資金需要を上回る収入を上げていた。
防衛予算の削減でパイが小きくなってきたときに、新たに設備投資をするのは理屈に合わない。 また、防衛関連以外の分野に多角化を図るのは、失敗の原因をつくることになる。
そこで彼は、余剰の現金を株主に還元することにしたのである。 一九九二年七月、同社は、自社株一三二O万株を、六五・三七ドルから七二・二五ドルの問で買い戻した。
その結果、発行済株式数は三O%減少した。 一九九二年七月二二日の朝、PはAに電話して、Pの保険子会社が同社の株式四三O万株を取得した旨を伝えた。
同時に彼はAに、同社の戦略に感銘を受けたので、投資目的で株を買ったのだと説明している。 そして九月には、AがCEOに在職する聞は、P保有の同社株についての投票権を、同社の取締役に委任する旨を申し出た。
Pの直近の普通株投資のなかで、Z株ほど混乱の種になったものはなかった。 Pがそれ以前に買った銘柄にある原則が当てはまらないのである。

。 簡明で理解しやすい。
安定した業績。 J長期の明るい展望。
など、どれも持ち合わせていない。 同社は政府にコントロールされている産業(売上げの九O%が政府との契約)に属しているばかりでなく、その産業の規模そのものが縮小し続けている。
売上利益率は低く、株主資本利益率は平均を下回っている。 さらに、将来のキャッシュフローを予測することはできない。
となると、Pは、どうやって同社の価値を確定するのだろうか。 その答えは、当初は同社株を。
長期方針の普通株投資。 として買ったのではなく、さや取りの対象として手当てした、ということだった。
彼は次のように述べている。 「ゼネラル・ダイナミックスの買いは幸運だった。

ほとんど関心を持っていなかったのだが、去年の夏に三O%の自社株買いを発表した。 調べてみるときや取りができそうなので、Pの口座で買い始めたということだ。
利幅は、少なくとも買い集めた株で応募すれば利益が出る、という計算だった」当初、さや取りの目的で買ったものだから、G株は、Pの持株についての財務、事業面に関する選考基準を免れたのだった。 しかし、Pは、同社株を長期に保有することになった。
「私は、この会社について調べ始めた。 そこで、Aが、CEOとしてごく短期間のうちに成し遂げた業績を知り、目を見張る思いだった。
彼は明確に筋の通った合理的な戦略を持っていた。 加えて彼には集中力があり、それを実現しようという熱意に燃えていたようだつた。
そして、その結果は、すばらしいものだった」と彼は述べている。 彼はきや取りという考えを捨てて、長期の安定株主になることに決めたのである。
PのG社への投資は、横並びの強制力に抵抗するAの能力を信じ込んでのものであったことは明らかだ。 評論家のなかには、Aが偉大な企業を切り売りしていると批判する者がいたが、Aは、単に実現されていなかった会社の価値を現金化しただけだと反論している。
一九九一年に彼がトップの座に就いたときの株価は、簿価の六O%下値がついていた。 それまでの一0年間、同社が株主に還元した額は、平均年率(複利)で九・一%。

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